設計で大切にしていることの最後は耐久性について。
耐久性についてはこだわる方は少なく、家は頑丈なモノだと思い込んでおられる方がほとんど。
耐震等級3や長期優良住宅ですと言われれば確かに安心しますよね。更に制震ダンパーついてますと言われればもう耐震については考えなくていいや!とさえ感じてしまう。
…さて本当にそうでしょうか。
家でも車でも他のモノでもそうなのですが、時が経てば劣化していきます。最初は綺麗でも手入れをしないと汚れるし、使えば使うほど消耗し動かなくなったりします。
部分的に交換が出来て少額で済むのはまだ良いのですが、全交換で高額だと見て見ぬ振りをしたくなるのは私でもそう。動かなくなって生活に支障が出るまで交換しないのが一般的な感覚ですよね。
その中でも目に見えないモノはその感覚さえ芽生えないので注意しないといけません。お家でいうとそれは壁や天井の中にある柱や梁、土台といった構造材にあたります。
一度思い返されてみてください。
今まで住んでいるところの壁の中を気にされたこと・・・ありますでしょうか。
私でさえ賃貸に住んでいる時や会社員として働き出して数年経った時代でも気にしたことはなかったです。また既に家を建てて住まわれているお知り合いの方にも聞いてみてください。ほとんどの方は気にされていないと思います。
これは「家は頑丈なモノ」と思い込みからくる盲点だと私は考えています。
車には2年に1回車検がありますが、家には定期的な家検はありません。あるのは施工会社による定期点検。(アフターと呼ばれています。)ただこの点検でも壁をめくって柱までは点検を行いませんよね。この構造材の状態がわかるのは20〜30年後のリフォームの時か、雨漏れしたり、羽蟻(白蟻)が発生したりといった現象があって壁をめくる時。
直ぐに交換出来たり、自らがメンテナンス出来る部分ではないからこそ、原産地がどこの構造材なのか、耐久性はどうなのかの疑問をクリアにして家づくりを進めていきたいですよね。冒頭に出てきた制震ダンパーは鋼製なので頑丈ですが、その力を受け支える柱や梁、土台が劣化していては効力が持続しません。
これからお家を建てられるほとんどの方は35年という長いローンを組むことになります。ではここで考えていただきたいのが築30年で柱や土台が腐っていたら?それは長期優良住宅?ということ。
残り5年間腐っている構造材に月々支払いをしていくことになりますよね。更にはそこに修繕費が重なるかもしれません。
デザインや性能はもちろん大事で、私も考えている時は一番ワクワクするところ。
ただし、きちんとした土台があるからこそ成り立つモノだと考えています。目に見える表面的なところだけではなく、目に見えない本質を見極めながら次世代まで受け繋ぐことが出来る家づくりを心掛けています。