前回に引き続き設計で大切にしていることの今回は性能について。
MESSAGEにも書かせて頂いていますが、性能は設計をする上で最も考えなくてはならない時代へと変化しています。
デザインが良くても住んでみて暑さ寒さに悩まされるような温熱設計では良い建物とは言えません。
ただ、この暑い寒いというのは建てる前にサンプルで確認出来るものでもなく、そのお家で四季を過ごして初めて体感出来るもの。住まわれた後の満足度調査では室内温熱環境や省エネ性能に不満を持つ人が多い結果となっています。
確かに設計のご相談に来られる方は、間取りや外観、内観のイメージはあっても、性能について拘りを持たれている方は少ないです。性能についてはinstagramやSNSなどでも中々触れる機会もなく一般の方は興味が少ない分野だと思います。
性能についてはお任せしますと言われる方が多数ですが性能について不得手としている建築士がいるのも事実。
そこで国土交通省は2021年4月以降の契約物件より、建物の性能について建築士から建築主(お施主様)への説明を義務化としました。建築士は設計する建物の省エネルギー基準の適否、適合しない場合の省エネ性能確保のための措置について、お施主様への説明が必要になります。
しかし、この性能基準をクリアしているからといって、住まわれてからの暑さ寒さが無いかと言われたらそれはまた別の話しになります。。
ここからは少しお話しが難しくなるので、シンプルに大切なことを4つお伝えさせて頂きます。
1つ目はUA値(断熱性能)について。
これからお家を建てられる方は建築地によって下記の基準値をクリアしているかをご確認ください。
ポイントはHEAT20/G1グレードのUA値をクリアしているかどうかです。
・基準UA値0.56W/㎡K 地域区分6地域・・近江八幡市,草津市,守山市
・基準UA値0.48W/㎡K 地域区分5地域・・上記以外の市町村
この数値をクリアしているということは断熱材や窓もある程度性能が高い素材を使っていることになります。
ちなみにHEAT20はG1〜G3までグレードがあり、G3が1番ハイグレード。
高性能な断熱材の厚み(付加断熱)や窓をトリプルガラスにするなどでUA値が良くなります。
2つ目は気密性能について。
気密とは建物内外部の空気の出入りを遮断すること。
気密数値は1㎠/㎡以下を目指したいです。1㎠/㎡以下というのは建物の隙間を全て集めた時はがき1枚分の隙間しかない状態。
よく断熱と気密は同じものとして捉えられますが全くの別物で、分かり易く例えると、
断熱=セーター
気密=ウィンドブレーカー
になります。
真冬に出かける時インナーにセーターだけを着て外に出ると風を通して寒い。
またインナーにウィンドブレーカーだけ着ても寒さを感じてしまう。
セーターの上にウィンドブレーカーを着ることで初めて真冬の寒い環境でも出かけることが出来る。
これが断熱と気密の関係になります。
断熱材の種類も多種多様ですが、セーターにもアクリルやウール、カシミヤがあるようにそれぞれ暖かさや肌ざわり、薄さや軽さなどがあります。
気密性能については、ウィンドブレーカーのゴアテックス素材がイメージし易いです。
※ゴアテックスはアメリカで生まれた防水耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた素材で、アウターや靴などに採用されています。
ファスナー部分も止水や撥水性のものを使っているか、アウトドアブランドは多数採用していますが、建築会社がここに拘っているかどうかで気密数値に差が出ます。
風を通すスカスカのウィンドブレーカーを着ていないか、気密検査を一邸一邸行っているかを確認しましょう。
少し長くなってきましたので3つ目と4つ目は次回のブログにてご紹介させて頂きます^^